あらかじめ決定された生き方が本人の幸福に結びつかない、というのは昨今の映画におけるスタンダードになっているのだろうが、それを踏まえなくてもこの映画に出てくる「呪われた家族」というフレーズにおいて誰が家族を呪っているのかは明らかで、兄弟の追い込み方がただただえぐい。この映画が解呪の手続きを踏む映画であったとすれば、その犠牲に兄弟たちが差し出されていたわけで、どこかホラー映画のような空気を常にまとい続けている。何かが起こるにしても決定的な瞬間はフレームには収められず、予感と結果によって映画がコントロールされているのがなおさら恐ろしく、夜中に爆走するシーンはほとんど「ヘレディタリー」みたいだと思った。
