両親は神とプロレスで兄弟を守ろうとした。
だが実際は神が両親で、プロレスは兄弟を傷つけていた。
「死は神が決める」という言葉と、プロレスを選び、怪我を負い、その先に待つ未来が、この映画で表現される。
子からのSOSに対する両親の不干渉、女性との関係が希薄だった長男の描写からみるに、鉄のように硬く閉ざされた概念の中で育ったであろうエリック兄弟。呪われた一族と言われる所以は必然の所業に思える。
両親による唯一の救いのアドバイスといえば「リリー・ジェームズを離すなよ」の一言だろう。そこから生まれた新たな家族が、鉄の爪で覆われた呪いの系譜を破ってゆく。
・・・以上が映画「アイアンクロー」のストーリーに対する感想ですが、個人的に演出部分で感銘を受けた部分があって、それはプロレスの試合前プロモーション(特にレイスやフレアーの所)シーンが作中のキャラ紹介として抜群に良かったこと。
初見の人は、一発でこのキャラがどんなヤツなのかを、違和感なく明確に理解できるし、プロレスに知見のある人は、実在の選手のパフォーマンスにどれだけ近接しているかを目を輝かせながら楽しめる。