マクガフィン

アイアンクローのマクガフィンのレビュー・感想・評価

アイアンクロー(2023年製作の映画)
3.7
プロレスラー一家の残酷物語かと思いきや、プロレスラー2世兄弟の残酷物語なことが興味深い。アメリカの時代や価値観を象徴するかのような家父長制やマッチョ主義で、プロレス・ビジネス狂の父親だけでなく宗教依存の母親も元凶に。

毒親から無意識に植え付けられた価値観が兄弟各々のこじれの原因に。洗脳されたプロレスラーの目標と価値観にタナトスが結び付き、5人兄弟(実際には6人)の次男・ケビン(レスラーのフォン・エリック兄弟としては長男)が、プロレスラーの出世と人生を弟達に先立たれることが切なすぎる。

悲しみの果てに「毒親の価値観」を解放し、ケビンのアイデンティティの形成へ。プロレスラーとしてチャンピオンになる夢は叶えられなかったが、大好きな家族と過ごしたかったケビンが、大家族になって夢を叶えることに感銘を受ける。ケビン家族に幸あれ。