フジタジュンコ

Mississippi River Sharks(原題)のフジタジュンコのレビュー・感想・評価

Mississippi River Sharks(原題)(2017年製作の映画)
4.0
ラストシーン、最高じゃないですか!?!?!?!?

科学の道に歩むことを断念して地元に戻ろうとしているヒロインのタラは賢くて気持ちが強くて優しい大学生。帰省のさいに手伝っていたミシシッピ川の釣り大会にサメが現れ、タラにずっと片思いをしていた同級生のエリック、サメ映画オタクのワイアットとともにサメ退治に奮闘します。

サメ映画としては、惜しげもなく登場するサメちゃんが人体を貫通したり手足や首を食いちぎったりするのも見どころです。なぜ川にサメが…?という疑問はおいておきましょう。水のあるところにサメが出るだけ良心的です。

「サメ映画としては」と書いたのですが、本作、サメ以外のエピソードもしっかりと描かれているので、タラの成長物語としても、父と娘のぶつかり合いと和解としても、女アナウンサー(このキャラクターは「スクリーム」っぽいなという気がしました)の挫折と成功としても、タラとエリックとのラブストーリーとしても楽しめます。

とくにエリック、タラを見る目がちょっとびっくりするくらいキラキラしていて、まさに「恋する男の目」で、『ガラスの仮面』で恋の演技がうまくいかない亜弓さんが端役の男の子の表情をトレースするエピソードを連想してしまいました…そのくらいキラッキラしててめっちゃ可愛かった! それだけに、サメを退治するための爆弾を作るという剣呑なシーンで、彼が「タラを信じている」と伝えるシーンは涙腺に来ます。

Syfyテレビ映画なせいか、「ジョーズ」だけでなく、古今東西の映画のオマージュが盛り込まれていたり、「シャークバイト」「麻薬鮫」といった架空のサメ映画シリーズが登場するネタの仕込み方だけでなく、これらがちゃんとストーリーに食い込んでくるのがとても楽しかったです(いつかタリー監督に「シャークバイト」や「麻薬鮫」を撮ってほしい!)。

いやはや、こんなに死角のない作品をサメジャンルで見られるとは…それに冒頭に書いた通り、ラストシーンが最高すぎて、高スコアを付けざるを得ません。

なお、本作は日本未公開作品ですが、サメ子さん https://filmarks.com/users/Almondfish のおかげでオリジナル日本語字幕で鑑賞することができました!! 本当にありがとうございます!!!!