とんでもない作品を見てしまったという感覚です。まず、鮮やかで彩りある映像が美しいです。主人公はこれまで過ごしてきた世界とは全く異なる世界に没入していくという内容なのですが、観客も主人公同様に非日常に足を踏み入れている感覚になります。
登場人物たちに対する印象操作も巧みでした。序盤、中盤、終盤で彼らのイメージが全く異なるという点がすごいです。人間の弱い部分や醜い部分、狡猾な部分などを上手く描いていると思います。また、前半は人間ドラマを主軸にしている一方で、後半はサスペンス要素が強くなる。脚本においても多面性があると感じました。
メッセージ性においては、監督の前作の方が普遍的なものだったと思いますが、今作の方がよりエンタメ性が増しており純粋に楽しめた気がします。
