カタパルトスープレックス

Saltburnのカタパルトスープレックスのレビュー・感想・評価

Saltburn(2023年製作の映画)
3.4
『プロミシング・ヤング・ウーマン』に続くエメラルド・フェネル監督作品です。

本作のテーマは「覆せないものに対する逆襲」なのでしょうか。前作のテーマは「私刑」だと受け取りましたが、両作品とも大きな括りでは「逆襲」と言えそうです。

本作は主役であるオリバーを演じるバリー・コーガンに大きく依存しています。「そういう役」を演じさせたら右に出る者はいない俳優なので、適役ですが、安易な配役でもある。

本作の背景にあるのはイギリスに色濃く残る階級社会。その階級社会を風刺したストーリーとなっています。イギリスの労働階級の人はオリバーを応援したくなる気持ちになるでしょうが、そう簡単には終わらせない。この終わらせ方の受け止め方で評価は大きく変わるでしょう。

ボクはあの終わり方には否定的な立場です。全部謎を明かさないでほしかった。すべては闇の中で終わってほしかった。そうじゃないとバリー・コーガンの不気味さも活きてこないと思うんですよ。あの終わり方だったら、別の俳優の方が良かった。本作はバリー・コーガンのキャラクター造形に依存してるのだから、ストーリーもそれを最大限に活かしたほうがよかった。

あと、ロザムンド・パイクとバリー・コーガンを対決させてほしかった。癖の強い俳優同士の絡みがすくなく、もったいない。