愛をこめて、と書いた後に少し逡巡してロシアよりって頭に書き加えるんすね 初回気づかなかったかも
そんな感じでボンドの恋愛描写や心理描写も実は結構丁寧で大味アクションとはまた一線を画すもう一つのボンドって感じです
また秘密道具の伏線も綺麗に回収、タバコ周りのちょっとしたセリフも終盤で回収と極めて基本に忠実に作られているのが好印象ですね
話も英国対ソ連のスパイ合戦そのものだったらしい(未読)原作からうまくスペクターが東西対立を煽る形に構図が変わっていて、いかにも東側っぽい無表情で不気味な大男グラントの暗躍でまんまと東西緊張が高まっていくイスタンブールパートが見事です ここからオリエント急行までの静かな盛り上がりは上品で他にはない味に感じます
ジプシーキャンプの部分は逆に以後の007映画で定番となるエキゾチックな美女の謎ダンスや謎儀式、そこから初期作を彩る名曲「007」が流れ乱痴気アクション…、と一つの定番の形を作り上げたような気がします
列車から降りてからは北北西に進路を取れみたいな逃走劇に最後の対決と娯楽が盛り沢山で良いですね
盛り沢山ながらも根の部分がきっちりしていますし、ヒロインが一人なので話が極めて覚えやすい、というのがボンド映画としては結構特異で、なんなら人気投票で強いのはこの要因が結構大きいんじゃないかと思いました
次作のゴールドフィンガーがハチャメチャ路線でヒットしたせいかすごいことなるんだよなこのシリーズ でも文句は言えない、なんならそっちの方が好きだし…
