歌代

デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章の歌代のレビュー・感想・評価

3.7
浅野いにお作品はちょうど『デデデデ』以前のものは全て読んだことありながら、今作は原作未読です。

シン・ゴジラやエヴァ破などでもちょろっと描かれた『非日常を受け取る、思ったよりも日常が続く一般人』の話を膨らませた前半。
「思ったより、な生活」に退屈を感じる一般市民。リミットのある青春の当事者感、というリアルな肌感覚は実際に学生時代の世界的事件のたびに感じたものだし、コロナの時「こうなんだろうなあ」と思ったことだった。
しかし、なにかが変わっていく。確実に。

浅野いにおのするどいシビアな視線は昔から感じてて、漫画『うみべの女の子』での流行語を中学生が薄めて使っている会話の再現には当時かなり驚いた。その部分がものすごく活かされていて素晴らしかったです。

また、後半繰り広げられる「もしもドラえもんがいたらなあ」というありがちな願望を広げたエピソードもいい意味で浅野いにおらしくシニカルで良かった。
そしてそれらは繋がっていないように見えてめちゃくちゃ繋がっている。

正直ピンポンとか観ちゃってる分、絵にはがっかりしたところもあるけど、しっかり後半が気になる前編でした。というかこの一作だけで十分面白いです。
原作読んでから後編見ようと思ったけど、ここまで脚色凝ってるなら逆に原作は前編の部分だけ読んで挑もうと思います。
歌代

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