ユカリーヌ

熱のあとにのユカリーヌのレビュー・感想・評価

熱のあとに(2023年製作の映画)
3.6
2019年に新宿で起きたホスト殺人未遂
事件にインスパイアされ、
創ったという愛の物語。

多くを語らせず、映像で解らせる
作品もあるが、この作品は逆に
多くを語らせるけれど、
解りにくい。

愛についてかなり語るけど、
哲学的というか、詩的というか、
リアリティがない台詞たち。

冒頭にうつ伏せに血塗れで
倒れたホストがいて、
そこに返り血を浴びた沙苗(橋本愛)
がやってきて煙草を吸い、
スプリンクラーが作動する描写があり、
「6年後」とテロップが出る。

こんな生々しいシーンから始まるが、
その前後の描写も二人の背景も
ほとんど語られない。
その後は、どこか観念的な作品であった。

人それぞれ、愛のカタチは様々で、
自分が思う愛が相手にとっての
愛とは限らない。

最近は、やさぐれた母親役が
多かった坂井真紀が美しい母親だった。
でも、背景は全く見せない。

見合い詐欺、猟銃を扱う女、
赤いマフラーの女、プラネタリウム等、シュールなシーンがあり、
考える映画じゃなく、
感じる映画で、解ろうとしなくて
いいのかとさえ思う。

「生」ではなく「死」を選択する愛。
愛ゆえに全てを受け入れる愛も
あれば、全てを断ち切る愛もある。

愛とは語るものではなく、
感情が、うごめくものなんだろうな。
ユカリーヌ

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