EDDIE

ミシシッピー・バーニングのEDDIEのレビュー・感想・評価

ミシシッピー・バーニング(1988年製作の映画)
4.0
「憎しみは生まれつきじゃない」
なぜ人は人種差別をするようになるのか。
すべては歴史であり、子は親を見て育つ。
差別が犯罪を呼び、そして連鎖する模様がおぞましくも心を蝕む。

若かりし頃のウィレム・デフォーとフランシス・マクドーマンドが見られる貴重な作品。
2人のFBI捜査官が主人公。
ルパート・アンダーソン役はジーン・ハックマン。このベテラン捜査官は明らかな黒人差別主義者。舞台となるミシシッピ州の住人とある意味同じです。
アラン・ウォード役は若きウィレム・デフォー。差別を許さず、相棒の差別発言の軽口に嫌気がさしている描写がある通り、2人は対照的な相棒同士です。

そして、舞台となるミシシッピ州フィラデルフィア。
行方不明者の捜査でミシシッピ州の田舎町に訪れますが、この町はあからさまな人種差別が横行しています。

今の時代みると、明らかに気分を害するレベルですが、当時の人々はこれをどう見ていたのでしょうか…。
田舎町で代わり映えのない日々を送るペル夫人を演じるのはフランシス・マクドーマンド。約30年前の作品ということもあり、マクドーマンドはかなり若くて美人です。驚きました。

作品の核を担う公民権運動ですが、これは事実と異なる描かれ方をしているという情報もあります。
社会評論家のハワード・ジンは、本作のように当時のFBIは公民権運動に非協力的だったことから、史実に反するとのコメントを残しているようです。

ウィレム・デフォーのアラン・ウォード捜査官はかなり協力的で差別を嫌うキャラクターとして描かれています。
ジンの発言の矛先はまさにこのキャラクターに向けられているのかなと。
さらに事件の真相を迫っていくにつれて心変わりしていくルパート・アンダーソン捜査官も含め、FBIがヒーロー的な描かれ方をしているのに異を唱えた形なのかもしれません。

それはともかく1960年代を舞台にしており、そのあからさまな差別描写は目を伏せたくなるほど。
撮影の仕方など、とにかくおぞましい描写の連続で、真相を暴くにつれて怒り狂うルパート捜査官の行ないもかなり激しいです。

そういえば3/12に衝撃の問題作と呼び声高い『マンディンゴ』がデジタルリマスター版として劇場公開されるそうですね。
本作の差別描写が結構エグい部分も多かったわけですが、『マンディンゴ』はいかほどに過激なのでしょうか…。
一応時間が合えば観に行こうと思っていますが、すでに怖気付いています。笑

※2021年自宅鑑賞40本目
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