20代にしてこの重たい題材を選び、形にして成功させたイ・ソルヒ監督には敬服するけど、個人的にはちょっと物足りなかったかも。サスペンス感を控えめにして客観的に人間を描くことに注力していたのは良いけど、それが原因で100分という尺にもかかわらずやや冗長に感じてしまった。こういうテイストは好きなんだけど、飽きさせないのが一番難しい作風だからなあ。
主演のキム・ソヒョンさん、天海祐希や吉田羊系の端正なお顔立ちなのにそれを感じさせず底辺生活のしんどさが滲み出まくった名演でした。ヘアメイクや衣装の地味さも非常にリアリティがあった。
「認知症老女すり替えサスペンス」と銘打ってるけど、前述したようにサスペンス感でグイグイ引っ張るような映画ではないです。でも「そんなすり替えうまくいくんかい？」という観客の疑念を巧みにかわしていくアイディアは面白かった。
そして「半地下はまだマシ」はすごく良いコピー。
