高杉晋作

青春ジャック止められるか、俺たちを2の高杉晋作のレビュー・感想・評価

4.0
若手メインキャストの芋生さんがインタビューで「(青春という言葉は今は)あまり聞かないし、青春そのものが今あるのかっていう感じ」と言っていてリアルだなあと思ったけど、この映画が古き良き青春を描いてノスタルジックに浸る作品かというと全くそうではないと思う。若松孝二も木全支配人も十分大人なのに常に青臭くもがいている。井上くんと金本さんに負けず劣らず。だからタイトルに青春って入ってるのは、青春に年齢なんぞ関係ないというメッセージだという解釈。

まあそういう意図とかは抜きにしてもすごく良かった!前作未見なのと鑑賞後に知ったエピソードや情報もあったけど、たくさん笑ったしグッと来たしみんないいヤツだった。

井浦新はアンダーカレントや福田村事件や大河ドラマなんかの物腰の柔らかい演技ばかりこのところ見てたけど、それとは真逆の破天荒なオッサンが最高にハマってた。まあ他のキャストと比べるとマンガっぽく誇張されてる感はあるっちゃあるけど、周りをグイグイ引っ張っていくカリスマ性はあのくらいやらなきゃなのでは。井浦新がのびのびやってるのが感じられた。

支配人役の東出昌大の飄々とした猫背ポジティブキャラも良かったけど、個人的にはその奥さんのコムアイが素晴らしかった!生活苦を前にしても旦那の夢をさらっと後押ししてあげる粋なキャラクターを見事に演じていた。前半しか出てこないのが残念。福田村事件で人目を忍んで逢引きしていた二人が夫婦になっててニヤリとしてしまった笑。

ラストの描写が個人的にはちょっとだけアレだったけど、総じて愛すべきヤツらの人間群像劇として良作でした!白石監督の前作とテイストがどう違うのか、井浦若松の比較も含めてすぐ観てみたい。
高杉晋作

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