イージーライター

ビニールハウスのイージーライターのレビュー・感想・評価

ビニールハウス(2022年製作の映画)
3.0
「パラサイト」と比べる向きもあるようだが、それは「パラサイト」に失礼だ。本作においての「貧困」あるいは「認知症」などの事象はテーマではなく、映画をスリリングに見せるための、材料に過ぎない。映画を通して、社会性を覗くなどはおこがましい所作だし、製作陣も毛頭そんな事は考えてもいないだろう。

一方でスピルバーグの出世作「激突」がそうであるように、映画とはなにかと聞かれたとき、その答えの一つとして、ただ単に楽しい、楽しませてくれるというものがあろう。本作はまさにそれである。スリリングと言っても、身の毛もよだつ強さがあるわけではない。心臓の鼓動が高まりすぎて収まらないというほどでもない。程々の緊張感で、映画の最後の最後まで時を忘れさせてくれさせる。それでいい。

上映時間も最近の長尺志向の中では満足の行く長さ。エンドクレジットも割り切ったような短さ。このことだけでも星一つ分。