レインシンガー

ビニールハウスのレインシンガーのレビュー・感想・評価

ビニールハウス(2022年製作の映画)
4.1
傑作!と言いきってしまうにはちょっと物足りないところもあるのだけれど、こういう話大好きなんで、ちょっと甘い採点かも。

結論的に言うと「イヤミス」ですよね。
いや、このヒロイン自体は決して悪い人でもいやな人でもないと思うんだけど、行動はある時点からどんどん間違った方へいきますよね。あ、それはどうよ?というポイントがいくつもあって、でも、一度転げ落ち出すと止まらない長い下り階段か緩い勾配のがけみたいなありさまで、不幸と失敗が連鎖していくさまが映画として物語としてこたえられません。

不幸な人がさらに不幸を背負い込む話、ではあるんだけど、設定の突き抜け方からして、これはブラックコメディと観るべきだと思います。だから、引き返し得ないドツボの繰り返しを、引きつった笑いを浮かべながら観るのが正解では、と思います。

けっこう満員の観客も、追い詰められた低所得者の悲劇を見るつもりでいたようですが(本当のところ自分もです)途中からこらえきれなくて笑う人が続出で、あ、笑っていいんだ、という雰囲気が劇場を包んでいく、という不思議な体験もできました。

もう一度結論。
ダメな人が(いや、同情すべき人なんですけど)ダメな行動を一つすることで、どんどん雪だるま式に失敗と不幸が固まりながら坂道を転がっていくのを観るのが好きなら、絶対に観て損はない作品。
次回作が楽しみな監督です。
韓国映画恐るべし。
レインシンガー

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