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雪山の絆のpancのレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
3.9
そういえばたまたま先週武田泰淳の「ひかりごけ」を読んだんだった。

雪山という場所の清潔さや、直接的な表現が避けられていたこともあり、想像していたほどグロテスクな感覚はなく、亡くなった人の身体を生きるために摂食するという行為は臓器提供のように合理的でもあるし、自ら友のためにそれを望むことは崇高なことでもあると思えた。反面、愛する家族が生きて帰るのを願っていた家族にとっては、亡くなった自分の家族をタンパク質として摂取したことで無事に戻った他人を責めずに歓迎することができるのかという、その部分の表現がされなかったことが少し気になった。自分に置き換えてもやはりそれは難しい気がする。原作はどうなんだろう。読んでみようかな。

いずれにせよ、一寸先がわからない世界で、今当たり前にあるモノや、家族がいかにかけがえの無いものであるかをあらためて感じ、心の底から感謝したくなったのは確か。
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