花鳥さんの記憶

雪山の絆の花鳥さんの記憶のレビュー・感想・評価

雪山の絆(2023年製作の映画)
4.0
この原作を最初に映画化したのは「生きてこそ」ではないか?

沖縄旅行に行く3日程前にそのメンバーで映画館で観賞した。
旅慣れしている私達さえも行き帰りの飛行機内ではほぼ無言だった。これは犠牲になった人々への祈りでもなく、道中安全への祈願でもなかった。

ただ怖かった。ひたすら恐怖を感じていた。


20代で女性グループでの旅行、海外をビーサンで渡り歩いていた私達にとっては飛行機なんて乗物は車に等しい身近な乗物に違いはなかった。たかだか1時間半程のフライトに過ぎないのに…。
終始無言になったのは誰もが恐怖を感じていたからだ。

飛行機慣れした私達でさえ黙ってしまう程のショックと自然の脅威、非常事態とはいえ仲間の死肉を食らわねば生きられない正常を逸脱した状況。もう二度と交差しないと思っていた「生きてこそ」がまたしてもタイトルを変えて我が人生に食い込んできた。
「生きてこそ」よりもリアリティ高く、撮影技術やセットなど現実を帯びて。

正直「生きてこそ」のあらすじはともかく映像や俳優陣の顔などほとんど覚えていない。
「雪山の絆」の方が映像技術の進歩にて画像も美しく、セリフ等も聞きやすくなっていると思う。

この映画を通してやはり感じざるを得ないないのは「何の為に生き延びるのか」生と死の狭間で迷うことなく生の道を取る選手達。ただ待っている人がいるから、やり残したことがあるから、死にたくないから云々ではないと思う。もっと貪欲に生への執着もなくひたすら生き延びる。生物に与えられた法則、生きられるのならば精一杯生き抜くこと、に過ぎないと思う。
ただひたすらに生き延びることに精をかけたのみ。

人は生物である以上どんな困難な状況でも生き抜かなければならない。途中下車は許さないと言うこと。