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傷物語-こよみヴァンプ-のうかりシネマのネタバレレビュー・内容・結末

傷物語-こよみヴァンプ-(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

『傷物語 <I 鉄血篇>』『<II 熱血篇>』『<III 冷血篇>』の総集編。
各作品からおよそ等分に45分ずつほど抜き出して構成されているので、『I』の冗長さが多少マシになってもそのまま残り、テンポの悪さを通底させる。
『II』パートではいくら盛ってもいい吸血鬼ハンター三人の目的や属性をごっそり削るせいで、本来なら遭遇〜決闘〜四戦目を第二幕とするはずが、かなり薄味になっている。ここを詰めたせいで『III』の冒頭は話が繋がらなくなっているし、屋上でのキスショットとの会話も削りすぎ。羽川のサンドイッチも描写だけして使わないのでただ勿体ない。

『III』の冒頭はまるでエピローグのように始まって転落するところに面白さがあるのに、四戦目を削るので終幕(あるいは手遅れ)感はなく、直球で不穏を煽るのでその後のシーンもメリハリがない。ラストのモノローグを削っているのも、このせいで締まりがないまま終わってしまっている。

一度作ったものを捨てられないのは二流だが、ご丁寧に『I』の退屈なパートを残して一本の映画として必要な箇所をカットしてしまうのは、『I』のような駄作を作った監督なので頷くしかない。
新規カットは本当に「カット」単位で日常パートに挿入されるだけで、それもほぼインサート。
新規にアクションを盛るようなことは一切なく、悪い意味で「全くの別物」になるなんてことはなく、面白さもつまらなさも据え置き。

時を経て欠点を見つけ傑作になるよう修正したわけではなく、何も理解できてないまま近年のアニメ映画ブームに乗っかっただけという印象。
同じ2時間30分を使うなら『II』と『III』を観た方がマシ。