みんと

靴みがきのみんとのネタバレレビュー・内容・結末

靴みがき(1946年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりのデ・シーカ監督作品。

今まで観てきた反戦映画でも子供目線から大人の汚さを映したものはあったが、本作はそんな大人への子供の憎しみの感情が子供同士に移行してしまう。それは「ドイツ零年」と匹敵するくらい、この上なく不条理で哀しい話だと思う。

デ・シーカ監督作品しかり、ロッセリーニ監督作品しかり、戦後社会で虐げられた人たちの一つ一つの言葉が重い。
本作では特に、最後のパスクアーレの

「マリア様、僕が何をしたのですか?」

という悲痛の叫び…。


ラストは正直、「自転車泥棒」、「ドイツ零年」などの方が個人的に「ドラマ要素」の少ない「リアリズム」が感じられたので、「ネオレアリズモ映画」としては―0.1点かな…。しかし、大人の戦争に巻き込まれ、大人に先導され犯罪に手を染め、大人の身勝手な理由により罰せられ、唯一の味方との友情も壊されるという、戦争孤児の運命の悲惨さを最大級に表現した映画としては本当に素晴らしかった。他の作品に劣らず弱肉強食の世界がリアルに描かれていて、敗戦国の受難、生命力、絶望にとても胸を打たれた。
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