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靴みがきのニシのレビュー・感想・評価

靴みがき(1946年製作の映画)
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看守さんや監視員の人がさんざん差し入れのピンハネをして、同じ班の年上にはいいように使われた場所である刑務所が最後に炎上。

そこから離れた2人は川底に転落するが、彼らの魂を具現化したような存在の馬は美しく走る。本来、馬は2人が賤しいお金で買ったものでありこの映画が2人の辛さだけにフォーカスするなら美しさなど見せてはいけない。

「無防備都市」で処刑されるフェンス外に牧師の魂を受け継ぐ子供達が見守っているように、この「靴みがき」の馬は2人の救いなんだと思う。

この作品がただ大人に利用されて自分の追い求めた幸せを掴むことができない不幸せな子供をリアリズムをもって描くだけなら最後に綺麗な川と馬は使わないと思いたい。

2人が作品内で想いをぶつけたシーンは、大人に上手く使われてチンコロしちゃった相棒に怒りをぶつける。そして年上の奴にけしかれられて脱走に一役買わされた相棒になぐりかかる。

彼らは大人以上に強い人間なんだよ。

つまり2人は大人たちの封建社会を打ち破り革命を果たし、死んだ。そうだよな。

この作品だけに限らないが、その人物が魅力的魅力的でないかかわらず、人物の心内に寄り添ってくれるイタリア映画は好きと言いたい。
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