Paula

When Evil Lurks(英題)のPaulaのレビュー・感想・評価

When Evil Lurks(英題)(2023年製作の映画)
3.0
Evil comes in many forms, and
whether you are male or female,
that doesn't matter as much as
what lurks in your mind.
ヤングアダルト向け小説家サバア・タヒア(New York Times-bestselling)の語録より  そして何よりこれより

The Man Who Can Scare Stephen King...  の見出しで始まる "American Heritage" による1995年のコラムより一部抜粋

“Lovecraft. . . opened the way for
me,” writes King, “as he had done
for others before me.... it is his
shadow, so long and gaunt, and his
eyes, so dark and puritanical, which
overlie almost all of the important
horror fiction that has come since.”

邪神の名前である「Cthulhu」は、本来人間には発音不可能な音で現在でもハッキリとはしていないので、建前上「クトゥルフ神話」と呼ばれている。その神話の創設者であり怪奇小説・幻想小説の先駆者の一人で、しかし、無名のままこの世を去ったH・P・ラヴクラフトと言う人がいた。

Mom: You don't kill evil like that,
   it will be worse.
Her son: If you kill him, you die.
Mom: It will take our bodies, it will
   take our souls. Don't do it,
   please, it will make it worse.
この警告を無視したジミーとペドロの兄弟は、今後、果てしのない悪夢を見続けることとなる。
ストリー展開やシナリオ自体は単純明快で分かり易くできていて、それでも本作『When Evil Lurks』が人々を夢中にし虜にさせるのは、その精巧にできたギミックによるゴアな表現であり、その巨大化したヒキガエルともジャバ・ザ・ハットとも例えることもできるウリエルの気色の悪さや血生臭さは画面を見ているだけで臭ってきそうにも感じる。ただし、少し誇張ですので失礼しました。

Mirta: Evil loves children.
   And children love evil.

『ペトロの黙示録』にも登場するウリエル... "最後の審判"の時に全ての魂を席に着かせる役割を担い、「懺悔の天使」または「地獄の支配者」として描かれ四大天使の中でもマイナーなのは、ウリエルだけが堕天使となった理由かもしれない。天界にいる天使が堕落すれば、追放され地上まで堕ちた天使は人間に、またさらに深く堕ちた天使は悪魔になったとされる。
covid-19を彷彿とさせる最も悪質に残酷で心の深淵をえぐるような不安な際どい映画となっていて、アルゼンチンの日本では敵わない程の特殊効果には拍手を送るほどで、しかも筋書きをシンプルにしたことで、家族の崩壊が手に取るように分かる描き方をする最後のツイスト・エンディング的ファクターに活かされているのかもしれない。

前出のラドクリフがこんなことを語っている。
The oldest and strongest emotion
of mankind is fear, and the oldest
and strongest kind of fear is fear
of the unknown.

深淵と言えば「人生や世界は無意味であり、道徳的な基準は存在しない」と信じていたニヒリストで後に自殺したニーチェの言葉は、映画の本質を捉えている。

"Whoever fights with monsters
should see to it that he does not
become a monster in the process.
And if You Gaze Long into an Abyss,
the Abyss Also Gazes into You"

原文はドイツんだ、おらんだでした。そういう下品なダジャレという事で、失礼します。
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