公開せずに配信という形になった作品だが、確かにこの内容は劇場でもヒットしそうにはない。
とはいえアカデミー賞でもノミネートされているだけにいかがなものか。
黒人が主役のブラックコメディ。
教授のモンクが黒人差別を教えるため差別用語を使うが、学生が反発して休養を取らされる羽目に。
そこで世間の言う黒人らしさが詰まっている小説を出版するが、それがまさかのヒットで映画化するという事態にまで。
あらすじだけ見ればサクセスストーリーみたいになるが、モンクはなぜこれがヒットするかわからない。
だが母のアルツハイマー介護のため、ベストセラーを利用するしかない。
黒人が思う黒人像ではなく、白人がそうであってほしいと思う黒人像。
これが何とも皮肉になって笑える。
黒人の地位向上を目指した女性小説家との対話だったり、映画のラストをどうしようかと考えていると、こういう方が感動するだろうという結末に持っていかれるあたりのやれやれ感。
これまで脇役中心だったジェフリー・ライトが主役である意味。
苦虫を噛み潰したり、メイドの結婚話に安堵したりの表情変化。
ようやく名脇役に光が当たったのが嬉しい。