もんてすQ

アメリカン・フィクションのもんてすQのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.2
意図しない形で作品が大ヒットしてしまう黒人作家を描いたブラックコメディ
オスカー候補

主人公は比較的育ちの良い黒人の作家で、彼以外の兄弟は医師をしている
自分の書いた作品がなかなかヒットせず、一方で他の黒人作家が“白人の抱くステレオタイプな黒人が出てくる物語”を書くとヒットしている状況に憤りを感じている
ドラッグディーラーをやって、ヒップホップを聴いて、刑務所に入って、白人警官から射殺される...みたいな

そんな中、適当に書いた黒人ギャングの小説が編集者の目に留まる
高額なギャラでの契約を結びつつ本意でないヒットに対し、次第にフラストレーションを抱く主人公だが、他方で母親の介護費用が必要なため“悪の黒人”を演じなければならなくなる...て話
でも主人公は育ちが良いものだから、悪の黒人を演じるのも下手っていう
ここら辺が本作の笑いどころか

私も黒人がいっぱい出てくる映画ってBLMの悲劇とか、あるいは治安が悪そうな人たちが悪事を働くとかの印象が強いな
だから本作は『じゃない方の黒人』を描くことで「黒人もあんた達と変わんない人多いよ、人種で一括りにされるの気まずいし疲れたよ」ってことが言いたいのか

でも作品の映画化が決まった時に出てくるチャラい白人の映画プロデューサーは「オレも刑務所入ってたんだ」とか言ってくるけど、多分黒人だったら犯罪歴があるのに映画プロデューサーなんてアメリカじゃ多分できなさそうだし、その辺りは黒人の不遇も一応書いてる

主人公のおかあさんは認知症の進行が早く、兄妹もいきなり死んじゃったり、ヤク中のゲイだったりして頼れない
家族の問題にどう対処していくかを描く辺りはかなりシリアス
人種の問題以上に家族の話のウェイトが大きいんだけど、その二つがどう結びついて本作が作られているのかが正直あまり良くわからなかった
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