ツクヨミ

アメリカン・フィクションのツクヨミのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.3
昨今のLGBTQを見据えた映画.出版業界に一石を投じる風刺コメディ。
2024年アカデミー賞にて作品賞などにノミネートされた本作、やはり気になって鑑賞してみた。
まあ本作は売れない黒人作家の物語になっており、めちゃくちゃ食い気味で逆にデリケートなワードを話しちゃう主人公に少々びっくりするオープニング。だが母親が認知症になったりと経済的に厳しくなった彼はがむしゃらに黒人犯罪小説を書いたら大当たりしてしまう話だ。
昨今のLGBTQの要素に囚われまくりなアカデミー賞にケンカを売りにいくような力強い風刺、全ての黒人がリアルな悲劇黒人物語を好むと思うなよと言うようなパンチ。なのに金のために書いたそんな小説が大ヒット、自分が思ってもいないことで経済的には救われていくが黒人悲劇で売れることがめちゃくちゃ嫌ーになってしまう逆視点。業界が求めているものはわかるが、はたしてそれを当人たちは喜ぶだろうか。業界に対する風刺としてはなかなかにゴダール"軽蔑"にも匹敵するのでは。
あといろいろと不条理な予測していない事象が笑えてきて、実はしっかりコメディとして笑えてしまう。出版させないためにわざとタイトルをアホっぽいのに変えるシーンなんて声出して笑った。ラストのメタ演出もあり実は脚本も面白いと思う、見事な2024年アカデミー脚色賞受賞に拍手。
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