SAKUMATHENERD

アメリカン・フィクションのSAKUMATHENERDのレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.8
パーシバル・エベレットの小説「イレイジャー」
原作未読。
黒人のステレオタイプの表象に
白人側が免罪符としてそれをありがたがって消費している構図。そして、当の黒人は
実情と乖離したステレオタイプに常に当てはめ続けられることに嫌気をさしている状況が既にして
皮肉めいています。大変可笑しかったです。

主人公モンクが
「流石に出版社も引くだろぅ〜」馬鹿なことふっかけ続けますが
予想を超えて出版社に乗ってこられて引き返せない状況に陥ってしまう流れには主人公の表情も相まって笑ってしまいました。
ステレオタイプに擦り寄った小説の題名も「fu×k」って
「アリですね〜」じゃーないんですよ!

遂には「fu×k」がベストセラーに選ばれますが、
その際の女性白人審査員のスピーチのずれていることずれていること....
当事者否定しているのに誰がためのエンパワーメントなんでしょうか?笑
主人公とシンタラ(黒人女性審査員)の呆れ返った表情といい、会話の間といい、本当に絶妙です。

家族映画としても見応えがありました。
複雑で逃れられない負の側面を描きながらも割とほっこりする着地でした。
ラストのメタ的な飛躍も嫌いじゃないですね。
色々な読み取り方が出来そうです。
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