都

アメリカン・フィクションの都のレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
4.2
単純にコメディとして面白かった
かなり誇張されているようにも感じるけど起こりえないことではないのが絶妙で考えることもたくさんあった

ステレオタイプにとらわれていることとそれを利用している人々自体も批判している
さらにそれを頭ごなしに否定している訳ではなくシンタラというキャラクターを通してある種世間との折り合いをつけている表現も肯定している
これがこの作品を書いている原作者、作っている監督が映画を通してみえてくる
様々なメタ的な演出があるのも面白いと思いつつモヤモヤするところもあって、それはきっと自覚せずにこれまで娯楽として消費してきた黒人のステレオタイプに気づいたことによるものだと思う

その事実を突きつけられ罪悪感を感じながらもきちんと自覚させて貰えたことに感謝すらした

主人公のお母さんの言動など見てると差別の構造というものは複雑で、被差別者が他の方向では差別をしていて、差別をされたことによる差別も発生するのだと感じた
歴史は逆方向の差別を産むということも再確認されてしまった

僕達もわかりやすさを求めてしまうことはよくあるけど、難解さも曖昧さも含めて信念のこもった表現を愛していきたい
都