ー白人が求めてるのは真実ではなく免罪符だ。
ーそれは俺の問題じゃない。
これは作中のやりとりだが、マジョリティがマイノリティに対して求めているのは、マイノリティをマイノリティたらしめている「らしさ」や、受け手にとって都合のいい定型的な物語であって、本質的な理解や寛容みたいなものがそこに含まれている必要はないんだなと。
本作では「黒人」の話だけれど、この構造はおそらくどんなものにも当てはまって(LGBTQの話でもフェミニズムの話でもいいんだけど)、それはきっと現在の社会において正しいとされる「理解を示す」という態度が、実は徹底的な無理解と無関心によって成り立っている、という現状をシニカルに暗示している作品なんだと思う。