あ

異人たちのあのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.2
原作未読。
日本版未見。

原作付きだと知らなければ、『アフターサン』と対を成す作品かと勘違いしてしまう程、監督自身が構築してる要素を原作に落とし込んだ異色作。
あまりにもハマり込んでるものだから、映画鑑賞後に原作のあらすじを読んだら、主人公がゲイである事以外はほぼ同じで、またびっくり!

原作は、妻子を失った事がきっかけで異人の世界に迷い込んでいくのに対し、本作では、回顧録的に自身の過去を投影した脚本を書き始めた事がきっかけ。
導入部分としては原作のほうが自然だけど、本作での主人公の生い立ちの方が、幼い頃に亡くした両親と幾度となく対峙する事で、現在に至るまでに主人公が溜め込んでいた心の澱を解放していく展開が“活きる”なあと。
また、異人=幽霊という単純な記号に落とし込むのではなくて、夢や記憶といった曖昧な境界線を上手く活用して、観客が主人公の潜在意識に入り込んでいける演出は上手いなあとしみじみ。
ただ、原作通りだから仕方がないのだけど、救いようがないラストが納得いかない。。。
主人公の救済が話の肝だと思って、どんな結末が描かれるのかと勝手に期待したのがいけないのだけど!!
あ