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異人たちの豆乳のネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

お、なんか良さげ〜と事前情報ほぼゼロで観に行ったら、自分のなかの一番、というかたぶん唯一の脆い部分をゴリゴリに抉られてぼろぼろになった。

アダムの経験は独りよがりな空想と言えるかもしれない。
でもこの映画は、死者とともに生き直し、愛する人の死というトラウマを癒しながら乗りこなして生きていく可能性を描いているのかもしれないと、このレビューを書きながら思う。

(以下、延々と自分語り)

私はたぶんアダムと違って愛の欠乏感はあまりないものの、「貰ってばかりで返せなかった」という無力感が今も強くある。

死んだ母に対しても、その後私を支えてくれた人たちに対しても。

一番感謝して恩返ししたい人はもういない。私は生き残ってしまった。

だけど残されたこの身体を無駄にせずなんとか役立たせねばと思って、とにかく目の前の欲しがっている人たちに愛情みたいなものをポイポイ投げた。
彼らを愛しているからというより、「何もできないまま生き残ってしまった」ことへの罪悪感のために。

当然そうすると色んな人の心に入り込んでしまって執着されるのだけど、私も私で相手をちゃんと見ていないから、その度にびっくりする。
私も疲弊したけど、半端な優しさは相手に失礼だった。

愛され肯定され育ったから自己肯定感はバリ高だけど、この罪悪感があるために生きていることが「ズル」のように思えて、罪滅ぼしのように人に心やケアを分け与えていた。

でもこの映画を観て、罪悪感を原動に生きるのではなく、死者とともにある自分を受け入れて生きることもできるかもしれないと、ようやく気付いた。

というか本当はわかってる。母は私が罪悪感で生きることを望まないだろう。

本当の意味で、自分を大切にしたい。
母が残してくれたこの身体を酷使するのではなく、大切に生きたい。

アダムも私も、きっとよく頑張ったよね。🫶
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