チダ

異人たちのチダのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

メチャクチャメチャクチャメチャクチャ泣いてしまった ハンカチを目元に挟みながら見たけど最終的にハンカチ絞れるくらい泣いた

なんかこう……出会いと別れとやさしい愛の話ではあるんだけど同じくらい断絶と孤独と乾いた闇の話でもあって……ひたすらに愛おしかったけど同じくらい寂しい映画だった
理解と無理解、そして孤独と対話の映画でもあって……ウーマントーキングが重なるのはクレア・フォイが出てるからですか?

最後の、最後のさあ……!星々が孤独に瞬く空が……!異人「たち」、原題の“All of Us” Strangersが語るように、
そのひとつひとつが静かすぎる夜を息を潜めてやり過ごす、虚のような底なしの寂しさを抱える、アダムやハリー、そしてあなたやおまえやきみやぼくやおれやわたしの物語なんだよって静かに引いてエンドロールが流れていくのが本当に寂しくて美しくて愛おしい
エンディング曲のPV、映画観たあとに観たら多分追い泣きしちゃうと思うのでURLを貼る……(https://www.youtube.com/watch?v=WtdRv6GT9Zg)

ていうか曲がすごく印象的だったな〜!
曲をセリフの一つとして取り込むというか登場人物たちの気持ちに寄り添った曲を意図的に使って組み込むというか……
私たちも普通に曲とか聴いてあ!この曲、自分の気持ちを歌ってるみたいだな…って思ったりすることって絶対あると思うんだけどそういう、創作物と受け取る側の……映画と観客の関係の落とし込み方がメチャクチャ上手いというか……
「君が寂しかった夜に、十分に抱きしめてやれなかったかもしれない」(https://note.com/biggerthecat_/n/na59104ae4c3a)ってお母さんが歌うの、涙が止まらなかった
両親が居なくなってからの寂しい息子を抱きしめてやれなかった、ゲイであることを隠し続けてきた寂しい男の子を抱きしめてやれなかった もう取り戻せない後悔とそれでも伝えたかった愛……

私はマイノリティ寄りの自認で家庭環境もアダムに近いものがあるので特に重なる部分で泣いてしまったけど
根本ではもっとマイノリティマジョリティ親の有無問わず普遍的な話というか、”孤独とクィアは別物”ってセリフにもあるように……最初から最後までずっと”孤独”の話をしているというか……
どんな理由があるにせよ、「この世界に自分の居場所が在る」ということを一度でも疑ってしまったことのある”さびしい誰か”が、同じ気持ちを抱いてしまったことのある”さびしい誰か”に向けた映画だな〜と思った
「あなたがそこにいることを私は知っているよ」っていう、ただそれだけの愛、ただそういう愛
ゲイである息子の孤独を知った両親、誰にも看取られなかったハリーの孤独を知っているアダム、観客(あなた)の孤独を知っているよっていう監督
知っている”だけ”、でもなんかこう……愛をそこに勝手に読み取らせていただいたというか……どうですか?そうなんですか?この読み取り方あってますか!?監督、愛だぜ……♡

観終わった直後は両親との別れの悲しい美しさ、その直後のハリーの死と孤独に対面する急落する怖さとか冒頭ハリーを受け入れなかったことの後悔とかアダム今死体触った!?通報する時指紋とか大丈夫か!?てか通報した!?オイ!!人が死んどるんやぞ!!とかなんか忙しなさでぐちゃぐちゃになったまま映画館を後にしたからそれどころじゃなかったんだけど思い返すたびにどのシーンも切なくて、眩しくて…………しみじみ好きだ……って噛み締めてしまう
短い期間に何度も観るものじゃないというか今は心がいっぱいいっぱいすぎるからしばらく観れないかもしれないけどまたしばらくしたら観たいというか 引き出しに大事にしまっておきたい映画のひとつだった
チダ

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