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異人たちのkensuzukiのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.2
【よかったところ】
・2023年に『Aftersun』という映画があったけれど、観終わった後の感触としてはその時にとても近いものがあった。というのも山田太一原作/大林宣彦映画という確立された翻案元がある一方で、非常にパーソナルであるのと同時に今日的な普遍性を持ち合わせていると感じられたからである。勿論平凡なアジア人男性(性的嗜好はストレートで、幼少期に天涯孤独の身になるような体験もない)である私にとって特別感情移入できる設定ではないのだが、今作が描く “ゲイネス” ともう一つの主題 “都市生活者の孤独” のようなものが非常にありありと感じられる描写/演出が素晴らしかった。

・『Aftersun』と共通する点として、劇伴が良かったという点もある。近作だと黒澤明リメイクの『生きる』(2022)でも劇伴を担当していたEmilie Levienaise-Farrouchが今作を担当しているのだが、Aphex Twinの『Drukqs』を感じさせるようなアンビエントな曲調が先述の作品主題とも相まってとても心地よかった。

・(余談)執拗に『Aftersun』との対比で語っているのは勿論Paul Mescalの存在があるからなのだけれど、今作も最高だった……かっこいい!

【Not for meなところ】
・特になし!もう1回くらい劇場で観たいので、上映館&上映回数増やして…
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