コッペパン

異人たちのコッペパンのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
3.9
2023-40
ロマンス的な画や展開も魅力的なのになんかうっすらずっとホラーの雰囲気が漂っていて、その違和感がずっと続くのが印象的だった
属性やアイデンティティを理解してもらわないといけない訳でもない、てことをもうとっくに分かってるはずなのに、それでも幻想であるはずの「両親」から距離感の答え合わせみたいな拒絶をされるのは辛かったな

すでにこの世の人ではないのかどうかの線引きが曖昧な描写や、世代間でゲイ-クィアのレイヤーが若干異なることで生まれる齟齬。そういうギャップがまた地に足つかなさというか、この作品の浮遊感を強めている気がして面白かった。『異人たちの夏』も早いうちに見たい!

あれだけ存在感ある体躯なのに内側の虚が滲むポールメスカルの空気、本当に好きー!多くの人同様『after sun』を見てからあの鈍い光が忘れられない


『秘密の森の、その向こう』の「私が悲しいのは私のせい」というセリフが刺さっているんだけど「寂しいこととゲイであることは別物」というセリフが同じ感覚で忘れられない。属性や境遇のフィルターにかけるのではなく、個性としての「寂しさ」を宣言する感じ?好きな感覚