Yuya

異人たちのYuyaのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
4.0
すごくいい映画だった、けど僕自身はこの映画をいい映画だなーとは受け入れたくない、が正しいかな。
(軽くネタバレが入るので今後見る方はご注意です)

と言うのは、個人的に切ないエンディングが好きで、人と人同士が思い合っているのにすれ違ってしまう様を描いていたり、もう二度と会えない様な状況からおいて、そこに至るにしてようやく互いの想いに気づく展開が好みなので、バッチシこれはその通りなのですが、あまりにも辛すぎる。
如何様にも取れる設定を終わりまで続けてくれるので、自身の主観として初見で感じた見解で語れば、乗り越えて行ける希望を描いたようで、実は妄想の域を出られなかった主人公は永遠に幻想と寄り添い続けていく、或いは下手したら一人孤独にタワマンの最初の警報と共に起きた火災で死を迎えて逝ってしまっていた後の空想的作品だと見受けたから。

結局外の世界との接触は一切無かった。辛すぎる。と、個人的には救いがなさすぎて…
まぁいい歳なのでね、穿った見方をするとこの作品に傾倒できるほどには、映画好き自称する人間ではないかな。幽体との出会いによる救済と邂逅であるようには、まず初見では感じなかった悲しみ。

否定的な言葉で綴ってますが、いい意味で、
ホモ、ゲイ、クィア、と世代とともに変わっていく存在の呼称に対する、理解や寄り添いをそっと伝えてくれる様な作品であったとも思います。

もちろん大事なのは、同性愛者だから寂しかったり、悩み続けていたり、孤独だったわけではない、というその一言に全てが込められていることだと思いますけど、それでも心のどこかを占める性的自認に対する危うさを象徴とした孤独だったのではないかな。

ただ、家族のクリスマスツリーのシーンや、ハリーとのシーン、クラブに繰り出すシーンは良かった。ほろりと涙しちゃう場面もあった。
久々に二丁目飲みに行かなきゃ、と思った。
楽しいぞ、音楽と酒があって、賑やかな場所は。
死んでもなお寄り添える愛は素晴らしい。
だけど、やっぱり生きているうちに少しでも長く、そばにいたい。
Yuya

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