デヴィッド・フィンチャー色全開で、彼の作品が好きな私はシリーズでも特にお気に入りの作品。ただ久しぶりに観ると粗も多く、フィンチャーの思う通りに作れなかったんだろうなと思う場面が多々。それでも、男だらけの囚人惑星に落下するという四面楚歌な状況下から自ら囚人たちの信頼を勝ち取るリプリーは、逆境において強さを発揮するリプリーというキャラクターのまさに真価発揮。信仰心と共に良心を貫く囚人たちのリーダー格ディロンも心強い。後半地下通路を迷路のように駆け巡るエイリアンと囚人のチェイスはなかなか緊張感があるし、エイリアンが直接的に人間を捕食するシーンもグロテスクでいい。閉塞感とアクションという1と2のいいとこ取りのようで、より人間描写に重きを置いたストーリーと、リプリー自身の過去との対峙というこれまでと全く違う展開をもってくるあたり、思想性の強いデヴィッド・フィンチャーならではの捻りだし、直線的で陰影の輪郭がぼやけた映像美は既にフィンチャー美学の鱗片が見えるので、個人的な好み込みで1~4の中では1の次に好きな作品なのだ。エリオット・ゴールデンサールの不気味なスコアも素晴らしい。