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ザ・カンファレンスのRのネタバレレビュー・内容・結末

ザ・カンファレンス(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2023年のスウェーデンの作品。

監督は「フリッカー」のパトリック・エークルンド。

あらすじ

研修旅行で計画したデパートが建つ予定の片田舎を訪れた地方自治体職員たち。しかし、彼らはそこで殺人鬼に襲われてしまう!!

何気に配信されてから、面白そうだな!とずっと注目していた作品で、ようやく鑑賞。

お話はあらすじの通り、まぁよくある殺人鬼スリラーにあたる作品なんだけど、設定として面白いのが、その標的となるのが「自治体職員」という点!!

この手のジャンルスラッシャーって大体殺人鬼の標的となるのはうら若き男女じゃないですか?今作ではもう全員が30オーバー!!つーか、なんだったらおじいちゃんおばあちゃんもいる笑。しかも、メンツとしては休職明けの女性主人公リナ(カティア・ウィンター「プッシー・ファースト 私が"アレ"を始めた理由」)をはじめ、性格ドクズなイケメン上司、そのイケメンを贔屓する市長、イケメンの腰巾着、皮肉屋なおばちゃん、そのおばちゃんの恋人?の頑固なおじいちゃん、新入りのおばさん、そして編み物好きのおばあちゃんとまぁー、なんつーかしみったれたメンバー構成となっている笑。

で、さらに面白いのが、彼らが研修旅行で来た自治体職員だという点。自治体職員というのでピンとこない人は会社員や公務員に置き換えて考えても良いと思うんだけど、他の作品だとバカンスとかで血祭りに上げられていることを考えると、まず殺人鬼が選ばないだろう、長閑な片田舎であーだこーだと会議したり、レクリエーションでペットボトルの筏を作ったりと極めてオフィシャルでパプリックでインテリジェンスな感じで過ごしているのがなんか…新鮮。

ちなみに、裸じゃないけど、ちょっとしたサービスシーンがあるんだけど、全然ありがたくねー笑笑。

また、キャラ同士の関係性もなんか…健全じゃないと言うか、みんな悪口や嫌味を言い合ったり、マウント取り合ったり、はたまた仕事の失敗を押し付けられて脅されたりと会社員の「やだみ」みたいもんもふんだんに盛り込まれている。

特にリナと対峙するドクズのヨナス(アダム・ルンドゲレン「ソング・フォー・イェデボリ」)がまぁー最悪なやつで実は書類を改竄したりと色々と汚いことをやっているんだけど、それをリナに詰められた時に全裸こフルチンになって肉体美を披露した後「君のことが好きなんだ」とそっちの方向でアプローチをかけて仲間に引き入れようとする大人の汚さ全開なキャラでイケメンなのにギョロ目で感情的でめちゃくちゃ残念な感じも含めて良かった。

で、そんな大人たちと対峙するのが大工の少年の着ぐるみを被った「ソーティスくん」。血だらけになりながら、魂の抜けたような目とでっかい頭で冷酷に襲いかかってくる様はそれなりに怖くて、劇中でもかなりの数が血祭りに上げられちゃうんだけど、こちらは「スクリーム」系のちょっと常人が強くなっただけな感じなので、意外と職員たちが切迫してくる感じが違う意味でスリリング。ソーティスくん自体は、まずは職員たちが泊まるゲストハウスの従業員を順番に殺していって、その後は周囲の森に罠を張り巡らせたりとかなり用意周到な面が窺えるんだけど、いざ職員に襲いかかるターンに入るとまぁそもそもの数がそれなりに多いというのもあるけど、意外に逃げられちゃったり抵抗されちゃうのがなんかいちいち新鮮。

特に皮肉屋のおばちゃんとおじいちゃんのペアがかなり奮闘していて、他の映画だとまず先に死んじゃいそうな人たちなのに、何度も襲われそうになりながら抵抗したり、片方がピンチになると逃げるのをやめて加勢して助け出したりと行動がもう主人公とヒロインなんよwしかも、ソーティスくんにトドメを刺すのはなんと、主人公であるはずのリナじゃない「え?こいつが殺しちゃうの?」っていう意外な人物だしね。

そういう意味では意外なメンツが生き残るし、じゃあ肝心のリナはというとソーティスくんではなく、もう1人の宿敵と対峙するラスト(しかも、ここだけ度を超えてイタグロい笑)だったりと他のスラッシャーではあまり観られない方向性に向かっていくのが、なんかスラッシャー映画における「リアル」を観たというか。

ただ、それが作品としての面白さに直結しているかと言えば、まぁ評価を観ればなんとなく予想がつく感じなんだけど、そもそも下準備が長かったり、後は結局ソーティスくんの正体が最後まで明かされないのもこういうのが好き女にとってはかなりの不満要素かも。

あとインストラクターの話が伏線となってリナとヨナスが共闘する流れがあるかと思ったんだけど、まぁそれだと今作が作り上げたリアリティがないしなぁ…と思いつつ、そうならなくてちょっと残念。ヨナスは最後までクズ野郎でした笑。

ただ、まぁ間違いなく、スラッシャー映画の中ではかなり意外性のある一作であることは間違い無いし、個人的にはそういう点で観てもなかなか楽しめたのも事実。普通のスラッシャー映画に飽きた人こそ観てみてはいかがでしょうか?
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