ツクヨミ

Hereのツクヨミのレビュー・感想・評価

Here(2023年製作の映画)
4.8
自然.人.生活.出会い.ゆったりと映像に浸る私的最強セラピーチルアウト映画。
バス・ドゥヴォス監督作品。"ゴーストトロピック"と併映されていた本作を見てみた。
まず本作は故郷に帰ろうと知人にスープを配って廻る男と、苔について研究している植物学者の女性が出会うというシンプルな話になっている。だがあくまでも前作"ゴーストトロピック"と同様に物語はそこまで重要じゃない点がさらにブラッシュアップされたと言うべきか。
まさに本作は森林浴セラピーの映像化と言っても過言ではないぐらいやばいチルアウト体験ができる、ケリーライカート"オールドジョイ"を軽く凌駕すると言ってもいいぐらい森の映像浸りディゾルブがマジでキマってた。本当に何気ない会話が紡がれ、人と生活と会話がただ見えるだけなのに何故ここまでゆったりと浸ってしまうのかまさにバスドゥヴォスのマジックと言うしかないんじゃなかろうか。
いやはやメインとなる男女の話ではあるが、シンプルな恋愛を感じさせるのではない。あくまでもラストでちょっと匂わせる微笑ましさがあり、個人的にはそういった描写ではアキカウリスマキより好きだったさりげなさがあったりする。
前半はゆったりとしたクロスカッティングで男と女を見せ、中盤でその出会いを見せる本当に偶然な出会いがハイライトか。前作"ゴーストトロピック"もそうだがアケルマン的な生活と人間をただ見つめる作家性があると思わせるバスドゥヴォス、だがしかしそこまでリアリズム作家ではなく.いやそうはならんやろな展開があったりしてちょっと茶目っけもある感じも好き。
いやしかし後半の森林映像がマジでイッてる、まさにドラッグによるトリップ感とも言える浮遊しそうになる映像体験。前作"ゴーストトロピック"もそうだがさりげないアコースティックなスコアがさらに拍車をかけ映像に浸らせてくれるほど実は音楽もちょうどいい。ゆったり落ち着きたい時にはマジでピッタリ、気になった人は是非劇場へ。
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