ある時は大学講師ゲイリー、そしてある時はおとり捜査官ロン。普段は冴えない温厚なバツイチ男性が、クールで攻撃的なヒットマンになって性格まで変わってしまう。
ノリに乗ってるグレン・パウエルの七変化は観ていてとても楽しいし、まー、旬の男は輝いている。ハリウッドで鳴かず飛ばずの下積み時代があったなんて信じられないくらいなんだが、注目されると光を放つものなんでしょうかね。リンクレーター監督は撮ってて楽しかっただろうことは画面から伝わるし、相手役のアドリア・アルホナも魅力的。
でもただ楽しいラブコメじゃないとこがリンクレーターらしい。軽そうで実は結構怖いことをやっている。主人公ゲイリーが授業の中で、共同体において危険人物にどう接するべきかを討論するシーンがあったけど、あの話をずっと考えてしまう。凶悪性を持つ人物を排除したとしても、その排除した人物もまた有害な男性性を持った人物ではないのだろうか。id(本能)とego(自我)を上手にコントロールして、愛する人と幸せに生きる。それが出来る人はいいんだろうけど……。それってものすごーく難しいよなとつくづく思い知らされたのでした。男らしさがモテにつながってるのも皮肉だよね。私はありのままのゲイリー、好きだったけどな。