フランスに渦巻く苦悩をまるでドキュメンタリーのような生々しさで描き上げるラジ・リ監督らしいタッチは今作でも顕在。今回も観ながら何度も、映画を事実そのものだと錯覚させられるかのような感覚にさせられた。
ただ、監督の前作『レ・ミゼラブル』や脚本・製作に携わった『アテナ』のクオリティによって鑑賞前のハードルが余計に上がってしまったことで、それらに比べると薄味な今作ではそこまで深く感動できなかったという感覚があったのも本音。
特に演技については、どの役にもあまり心を動かされなかったというのが正直なところ。
とはいえ、政治家のハンパな政策やエゴにまみれた対応、それによって困窮が加速した民衆の悲しみや怒り、そしてもはや「無敵」な暴走といった部分は十分に危機感を煽るものとなっているし、政治家も民衆もやることがハンパなのは事実であるため、物語としても色々な面でハンパになってしまうのにも致し方ない部分はある。
逆にその誇張しすぎず“なあなあ”な部分も、とことん“リアル”を追求した結果なのかもしれない。
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観た回数:1回
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【星つけた際の"個人的"評価・好み】
※作品のウリじゃなさそうな部分、判断しにくい部分は「-」
総合点66pt/100pt 星換算★★★3.3
95=スタンディングオベーション/90=大拍手/80=最高!/70=すごい!/60=良い/50=不足なし/40=あと一歩欲しい/30=うーん/20=さすがにちょっと/10=Z級
《配点》
好み(個人的なただの好み・印象の強さ)
68★★★☆
監督(コンセプト・元ネタ・主題・固有演出)
70★★★☆
脚本(設定・起承転結・言葉・脚本のテンポ)
61★★★☆
撮影(構図・カメラワーク・撮影での映像美)
69★★★☆
演技(演技力・役作り・演技のインパクト)
60★★★
編集(カット・編集でのテンポ・音ハメ)
65★★★☆
音響(録音・音響)
68★★★☆
音楽(サントラ・歌曲)
62★★★☆
美術(キャラデザ・衣装&メイク・セット)
68★★★☆
配役(キャスティング)
67★★★☆
VFX(VFXのクオリティ・VFXでの映像美)
65★★★☆