Sasada

バティモン5 望まれざる者のSasadaのレビュー・感想・評価

バティモン5 望まれざる者(2023年製作の映画)
3.9
「話し合い」がそもそも成り立たない。テーブルに着くにはそもそも互いが平等であるという認識がなきゃいけないし、力を持つ側がめんどくさがればその瞬間に瓦解する。作中で話し合ってくれと頼み込むのはいつだって“弱い”方の人物だ。(追い出されたり、武器で脅されたり、催涙スプレーを向けられたり)

仕組みや体制を変えようと努力する者、仕組みや体制に取り込まれて生活を確保する者、暴力でしか抵抗する手立てを持っていない者。移民と一括りにはできないし、体制側の警官や政治家にもそれぞれのポジションや信条がある。

荒んだ町を映すドローンのショット、人2人がギリすれ違えるかという階段での閉塞感あふれる移動のシークエンス、何もかもを焼き尽くす炎など、ラジ・リ監督の関心や問題意識は前作と同じに見える。

いつまで虐げられる側が声をあげ続けなきゃいけないのか、いつまで無関心で「家に帰りなさい」と言えてしまうのか、なぜ彼らは道を分つことになってしまうのか。
ここから先は映画じゃなくて現実世界で、ということかな。
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