Sasadaさんの映画レビュー・感想・評価

Sasada

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クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

3.5

誰かと思ったらキリアンマーフィーでびっくり。
3つの場所で進行するストーリーをうまく接続する中盤のシークエンスが面白かった。扉を開く、ライトを照らすことをマークに切り替わる手際と各人物の動作の相似性。
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12日の殺人(2022年製作の映画)

2.0

いや流石にこれは投げすぎ(観客に委ねすぎ)なのでは。
有害な男らしさが女性に何を求めるか、フランスの警察が年間に直面する未解決事件の数、過去に取り残されることを象徴する自転車のトラック。人間と社会をや
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クワイエット・プレイス(2018年製作の映画)

3.9

衝撃的ななにかが起こった時に声を出せないということは、それを見つめることしかできないわけで。それがこんなに残酷なことだとは思わなかった。叫ぶことは感情を発散して心をコントロールする手段なのだなと。>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

3.9

これは映画館で観るべきだったと後悔。ドラマじゃ出せない質感で映すのは、真摯に見つめなければロスしてしまうコットの成長の記録。

水を汲む、野菜や果物を切る、牛に触れる。横並びで手仕事に励むことで社会と
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密輸 1970(2023年製作の映画)

3.6

キムヘスを大黒柱に、クライムアクションとコメディとシスターフッドと〇〇まで全部載せてみたスーパーなエンタメ映画。
恋愛パートを一切絡めることなく女性の俳優たちをセンターにこれを撮れてしまうの素晴らしい
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DEATH DAYS(2021年製作の映画)

3.8

アンコントローラブルなあれやこれやに囲まれて生きていくこと。当たり前すぎて見落としがちなことを、こうやって見せられると新鮮だった。
「(それが今年なのか来年なのかは分からないが)自分が死ぬ日付」=de
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.6

楽しく観ました。「花束みたいな恋をした」ってすごいムーブメントだなと再確認しつつ、殺し屋稼業も正規と非正規みたいな格差があるのですねと3期目が決まった緑の女帝を思うなどした。

アクションはもちろん、
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朽ちないサクラ(2024年製作の映画)

3.6

情報の多さ、テンポの速さ、公権力の不正や宗教といったテーマ性、はたまたルックや音楽の使い方まで実に韓国映画っぽい。安田顕と豊原功補の色気を最大限に引き出したそれもその文脈に近いなと。

観客が楽しむた
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四人姉妹(2021年製作の映画)

3.3

観たいなと思ってて去年観れなかったやつ。
ワンシチュエーションの口喧嘩ものって基本好きで、感情がドライブするうちに思ってもみなかった(認識すらしてなかった)本音らしきものが溢れるおかしみが印象的。
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セーヌ川の水面の下に(2024年製作の映画)

4.0

サメ映画かと思いきや、複数のステークホルダーが己の利益のみのために関わる社会はいとも簡単に転覆し得るという、“ニンゲン映画”であった。サメが主役じゃないのは肩透かし喰らうかもだが、チャレンジングでとて>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

3.8

飛び立つ片方の手袋を見送るしかなかった「より惨め」な彼らの話
社会や家族から取り残された者の孤独にフォーカスし連帯してゆく映画は数あれど、近すぎすぎず/変わりすぎずの塩梅がちょうど良い。

彼らの/わ
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フォロウィング(1998年製作の映画)

3.3

時間と視点を操った仕掛けの多さがいかにもこの監督らしく、好きな人は好きなんだろうなと。個人的にはもうちょっと人を描いた映画の方が(この監督でいえばインターステラーが)好きなので、はいはいそっちすねと。>>続きを読む

蛇の道(2024年製作の映画)

3.4

1998年版に比べると随分親切で分かりやすい印象。「??」な要素はほぼほぼカットされ、背景や意図が概ね示される作りになっているのは賛否ありそう(わたしは否です)
娘の遺体の状態を読み上げる不気味な怖さ
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かくしごと(2024年製作の映画)

2.9

認知症の父親を演じる奥田瑛二がすげーのだが、その話と男の子を誘拐し母親となる話が繋がってる、、のか??と感じてしまい今ひとつ乗り切れない映画ではあった。

辛い現実と逃避するための救いとしての「嘘(あ
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チャレンジャーズ(2023年製作の映画)

4.5

テニスとは何かと問われ“Relationship”と答える女と、彼女に心を奪われた2人の男たちの話。ストーリー云々はもちろん良いけれど、映像と音を味わい続ける幸福でいっぱいになった。

愛と憎しみと友
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違国日記(2023年製作の映画)

4.0

雑談のもつ癒しについて考えている。何でもない話をしているうちに心の内側がドロっと溢れて、なぜか心がスッキリする経験のこと。本作のキャラクターたちがちょっと異様なくらい自己開示するのは、「あんたは他人だ>>続きを読む

8番目の男(2018年製作の映画)

3.5

12人の怒れる男
12人の優しい日本人
の系譜にある基本的にワンシチュエーション×民間人裁判員モノ

ミステリーとしての練度というよりは法廷エンタメっぽいライトな作りで、真相に迫ってゆく面白みはちょっ
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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

2.8

あくまでファン向けの映画であって、熱烈なファン以外がこれを観たって「なっがいねー」としか言えないっす。
エンジン音響かせて、止めて、響かせて、止めての繰り返しと過去作への目配せはオールドファンにとって
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東京ランドマーク(2019年製作の映画)

3.8

何かを決めたり進めたりする訳じゃなくただ情景と音を切り取る映画で、とことん自由で風通しが良い。押し付けることのない距離感で寄り添ってくれることがこんなに心地よいとは。

木々が望んでそこに根を張る訳で
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怪物の木こり(2023年製作の映画)

2.0

誰も彼もよく喋る。全部言わなきゃ気が済まないし、言わせないと気が済まない造形でなにが「サイコパス」だと。全然普通の人に見えるよ。

人格では行動に罪は帰属するという話は至極真っ当だと思うけれど、その線
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バティモン5 望まれざる者(2023年製作の映画)

3.9

「話し合い」がそもそも成り立たない。テーブルに着くにはそもそも互いが平等であるという認識がなきゃいけないし、力を持つ側がめんどくさがればその瞬間に瓦解する。作中で話し合ってくれと頼み込むのはいつだって>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

3.4

初日とはいえ平日のお昼に結構な客入りで、言っちゃえば地味な映画にこれだけの「関心」が寄せられているのは良いとも悪いとも言えそうですね。(現実に起きている殺戮、侵攻が関心を高める理由になってるわけで)>>続きを読む

観察者(2021年製作の映画)

3.6

「裏窓」的な設定にシドニースウィーニーじゃんということで。
意外と下世話というか何というか、ツイストにツイストを重ねるゴテっとしたエンタメ映画でした。普通におもしろい。

眼球と目玉焼き、卵が割れるこ
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ミッシング(2024年製作の映画)

4.4

娘が失踪した両親と彼らを取材するテレビ局記者の姿を通して、果たして誰が何を”miss”したのかを問う。

実情を知らないくせに侮蔑の言葉をぶつけるのがインターネット上の人格だけではないことはメッセージ
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.5

あれよあれよとまずい方向に転がり落ちていくさまは到底“ありふれた”ものとは言えないが、そのきっかけとなる盗難と盗撮自体はまああり得るレベルのもので。

ゼロトレランス方式って教育の現場の言葉のイメージ
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蛇の道(1998年製作の映画)

3.9

黒沢清自身によるリメイクが6月に公開される今作。哀川翔が謎の数式を紡ぐ教室とそこにいる女の子、香川照之の執着と過去、拉致する彼らとの関係性、やたらと切れる鞭?の女性など、謎を謎のまま提示し興味を惹きつ>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.6

マッコールさんが良い人なはずなのに悪人にも見えちゃうみたいな様式美。
暗闇に浮かぶスキンヘッドと舞う埃が怖過ぎて笑えてしまった。

市井の人々と言葉を交わし距離を保ちながらも愛を育み、我慢して我慢して
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恋するプリテンダー(2023年製作の映画)

4.1

今年の最優秀助演アニマルは今作か“落下の解剖学”で、最優秀エンドロールは絶対今作。隙のないラブコメで最高でした。

恋人のふりをしているうちに好きになるのではなく、恋人のふりをしているうちに隙間から本
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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

4.0

お、これいけるんちゃうん?という期待はことごとく裏切られ、そっちにだけはいかないでくれという祈りはどこまでも破壊される。対話可能性というものを高く見積り過ぎな自分の認識がひっくり返され、それがある種の>>続きを読む

グレート・スクープ(2024年製作の映画)

3.4

調査報道モノはもうスポットライトとかSHE SAIDと比べられるのは仕方ないし、比べられるとちょっと分が悪いと言わざるを得ない。

立場の異なる複数のステークホルダーたちを巻き込む丁寧な仕事ぶりが面白
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ロスト・フライト(2022年製作の映画)

3.5

嵐の中で飛べと言われ、案の定トラブルで緊急着陸して、紛争地帯でゲリラに命を狙われるという三重苦を、「やれやれ」と超えてゆくジェラルドバトラーが大変愉快。
リーアムニーソンもジェイソンステイサムも散々こ
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

3.8

「要はバランス」ではあって、善人でも悪人でもなくて、相反するものに挟まれて都会の人は仕事してるし、自然豊かな環境で生きる人だってそれを壊しながら(何ならタバコとかも吸いながら)命を繋いでいる。
人と自
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走れない人の走り方(2023年製作の映画)

3.6

遊び心があってチャーミング。またも猫を逃がす山本奈衣瑠が映画監督役を一生懸命に好演。藝大の卒業制作だそうで、次回作以降も観たいっすね。
「ねーなんで自主映画出身の監督ってすぐ海に来るの?」を誰も拾わな
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トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

4.0

ハローワークの行列、会社への道を急ぐ黒い群れ、檻の中で微動だにしないいくつもの眼、作業服へ着替える手際の良さとその場所。
代替可能で不可視化された存在としての「人間」が不穏さをこれでもかと強調する中、
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異人たち(2023年製作の映画)

3.5

セックスが死に簡単に接続してしまうが故にクローゼットに押し込めてきた想い、時代から/世間から注がれる冷たい視線と暴力、家族とも(もしくは家族だからこそ)隔たる距離の大きさと孤独

北丸雄二の「愛と差別
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おまえの罪を自白しろ(2023年製作の映画)

2.5

そんなに感情が顔と声色に出てしまうやつに政治は向かんだろとしか。
登場するキャラクターたちの動きは彼らの信念に基づくものには到底見えず、あくまで作り手がたくさんのコマを動かしてごちゃごちゃさせることで
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