コーディー

バティモン5 望まれざる者のコーディーのレビュー・感想・評価

バティモン5 望まれざる者(2023年製作の映画)
3.8
どれだけ苦労を重ねても生活の質は上がらず、無能な新市長は市民の人権を軽視した政策で彼らの生きる力を搾り取っていく…
そんな環境に追いやられた移民らが住むパリ郊外の団地での改善という名の抑止、政治が機能しない世界に充満していく怒りの行方を赤裸々に見つめる。

〝死んでも安らかに眠れない〟と冒頭のセリフが劣悪な環境に生きる住人らの切実さを伝え、暗く狭い階段で協力しながら棺を運ぶ様子が孤立したコミュニティを象徴する…
と、溜まった不満を端的に伝える巧さや画的な説得力には掴まれるものの、展開ははやや短絡的というか、特に怒りを増幅させる新市長の横暴な振る舞いはさすがに露骨過ぎる気はしたw

望まれざる者同士の対立は怒りしか生まない…という現実に対するアビーとブラズ両者の主張、それを否定することなく見つめる展開には惹きつけられた。
ただ解決策はないにしても、とりあえずの〝気付き〟へと導く結末にはやや安易な印象を受けたし、そういう意味では監督の前作『レ◦ミゼラブル』の方が好みかも。

悪くはないし好き寄りな映画やけど、あまりにも怒りが前面に出過ぎてて物語に不自然さを感じたってのが正直なところ。