あおい

恋恋風塵(れんれんふうじん)のあおいのレビュー・感想・評価

3.0
不遇な環境に育った幼馴染の男女の恋物語。

冒頭からアワンが兵役に行く場面まで、兄妹的な感情なのか恋愛感情なのか、その曖昧さを徹底的に表現していて、それが良かった。
ボソボソとした会話、二人の揺れ動く視線と固定ショット、ゆったりとしたカット、ロングショット、長回し、物語の説明や起伏がなく流れるように進む時間などがそれを成していた。
ロングショットで緑生い茂る山村とそこに住む人々を切り取ったアワンとアフンの故郷シーンはどれも素敵で、またなぜかノスタルジーを感じた。

ただそれが故どこまでも単調で退屈してしまった。
全体的にカットのテンポがゆったりとしていて(ロングショット長回しも含め)起伏のない夢うつつな時間が流れており、殆ど長回しの「憂鬱な楽園」よりも退屈してしまったし、音楽やライティングのエキゾチックさがいかに効果的であったか認識させられた。(もちろん本作にエキゾチックさは求めていないのだけれども)

歯磨き粉を食べたり、バイト先で弁当もちゃんと運べないのかと怒られたり、バイク盗まれたり、熱にうなされたりと不遇でツキのないアワンの姿は「憂鬱な楽園」のピエィンに似ていた。
あと、冒頭の緑生い茂る山の中を電車が走るシーンも「憂鬱な楽園」と似ていた。

ネットに日本人の類似監督で是枝監督と小津監督が挙げられていて、確かに頷けるし両者ともそこそこ好きなんだけど、侯孝賢は今の所あまり嵌らない。
あおい

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