蛸

勝手にしやがれの蛸のレビュー・感想・評価

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)
4.1
映画を見始めたばかりの中学生の頃に見て、随分と混乱した記憶がある作品。
とはいえメインの筋自体はアメリカのB級犯罪映画にありがちなシンプルなもの。けれど、映画としてやってはいけないことをたくさんやっているので受ける印象は大きく異なる。

カメラワークや編集の荒々しさ、変に作り込まれていないラフなタッチから既存の映画文法を打ち破ろうとする若いゴダールの気概みたいなものを感じる。
それでも、「型を壊す」ためには型を熟知していないといけないわけで、やっぱりヌーヴェルヴァーグって映画オタクの世代の文化だよなあと。
そう考えると主人公のボンクラ加減とかも割と腑に落ちる。

※この映画の予告編自体がむしろヌーヴェルヴァーグの感覚を適切に象徴している気がした。一見の価値あり。
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