蛸

プレイタイムの蛸のレビュー・感想・評価

プレイタイム(1967年製作の映画)
4.2
もはや狂気を感じるレベルのモダンな画作りが徹底された怪作。
デフォルメされたオフィスに象徴される「近代」と、それに翻弄される人々の間に生じるズレにはどこか不条理な可笑しみが伴う(カフカの作品の喜劇的な側面のような)。
境界線=ドアを破壊することでユロ氏は、無秩序なユートピアを映画の中に招き入れる。それに伴い、画面のエントロピーが増大していくのは必然的だろう。
そのユートピアすら束の間のものであると示すラストは、市井の人々の日常の営みを改めて映すにあたり、意外にも爽やかで力強い印象を残す。
蛸