藤本

ゴンドラの藤本のネタバレレビュー・内容・結末

ゴンドラ(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

観終わった時「良かった〜!!」となりました。が!最初の20分ほどは言葉を選ばずに言うとちょっと退屈か…?となったのもまた事実。途中からガーッと加速してきのままハッピー(?!)エンドまで一直線でした。

2人の関係について。
冒頭より全編通して、ニノとイヴァの関係はどこか艶かしさを感じさせます(最初の時点で着替えにピントが合っている)。基本的には無邪気ないたずら合戦に勤しむ2人。しかしそれぞれのモチーフは比喩的でもある。例えば以下の2点。
チェス。最初の頃、駅長(偉そうなおぢ)の相手をしぶしぶしているものの、それを回収し設置。2人のひそやかなチェスが始まるも、勝手に恋心を寄せてきた別のおぢにより崩壊。女の子同士の攻防とそれを阻む男性の図。
リップ。すれ違う前にリップでお直ししていました。何となく恋する乙女感。おチビちゃんはこの姿しっかりまねっこしてましたね(かわいい)。

対して、男性と女性でありながら、ゴンドラガールの2人は車椅子のおじさまに優しく寄り添います。駅長に蹴飛ばされてしまっても手を差し伸ばし、彼のゴンドラに乗りたいという願いをも叶えてあげる。非常にニュートラルな関係がそこにはあります。

話が前後してしまいますが、ニノとイヴァはレズビアンなのでしょうか。これは百合映画なんでしょうか。
それは違う気がしています。
映画とは一旦離れますが、例えば日本の女子校だったり女子の多い部活だと一過性の百合的なものがしばし発生しうると思います。もちろん中には一過性でない場合もありますが(それはそう)、思春期の気持ちの矛先がたまたま男性に向きえなかったゆえに起きること、というのもある気がします。
本作に話を戻しますが、ただでさえ人が少ない環境で似通った若者が来たら好意を抱かない方が難しい。その好意の中身を選別するのは当人も第三者も難しいし、そもそも恋愛か否かなんて考えることがナンセンスかもしれない。
作品全体にそういう気風が感じられます。わかりやすい大きなストーリーがあるかといえばない類の物語ですし(転職を考えていて、それを知って喧嘩する場面があります。が、後からググって「だから喧嘩してたんだ!」って合点)。

最初の棺運んでるシーンの時点では先行き不安でしたがそこさえ超えれば面白い!ここに来て今年のベスト映画ナンバー入りですまじで。面白かった。終わり方も好き。
藤本

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