ふゆき

ゴールド・ボーイのふゆきのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
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懐かしい雰囲気と言うか、これだけストーリーの下世話な興味のみに特化した邦画は今は逆に作りにくい気がする。
昔のミステリーの短編にあったようなちょっと気の利いた話というか、別に称賛してるわけではなく、悪く言えばひたすらツイストする絵空事。
割と最初の方で、ああこれは〇〇ものかな?と見当がついたので全体の構図はわかりやすくなっている。
何度も言っているが、「実はこうでした」はちゃんと考えてやらないと、「どうせこの場面のこの感じもウソなんでしょ?」となって観客の感情移入を自ら削ぐことになる。特に、ストーリーの展開の先でキャラクターがウソをついていたことをバラすのは割と悪手。やるなら構成そのもののフレームの切り取り方で見せるべき。
そもそもラストのほう、カットバックする語りが、多分親切だと思うんだけど、その要素が明らかに「余っている」ので展開が読めてしまう。

僕は岡田くんの整いすぎた顔立ちゆえにハマる人非人的なキャラの役が好きなので、もっとこう乱歩の『影男』のようなピカレスクロマンのような話が観たかったなあ。

追)
何かこうもうちょっと…と何か映画としての物足りなさを感じる理由、わかった、『落下の解剖学』と比べてしまうんだ。

追2)
日記のところは、ニコラス・ブレイクの『野獣死すべし』を思い出した。
ふゆき

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