ふゆき

異人たちのふゆきのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
-
大林監督版は観てないが、わりとがっつりゲイでありクィアであることがテーマの作品だったので元はどうなのかが非常に気になった。
死者との交流という要素の扱い方がわりとユニークで、例えば『ねじの回転』のような幽霊譚ではなく、あくまでも死んでしまった者たちとゆったりと時間を過ごすという話で、一番近いのは『リメンバー・ミー』かもしれない。
何しろ彼らは傷ついたり怖がったりする。それを寧ろ主人公のほうが宥めて慰めることになるのが面白い。
主人公アダムと恋人(未満?)のハリーは、出会いからロマンティックで、優しくエロティックではあるものの、クスリのせいか、徐々に現実なのか幻覚なのかわからなくなり、幻想的な映像とともにあやふな関係が描かれる。
それまで描かれてきたあれやこれやが腑に落ちるラストは、それにしても哀しく、しかし美しい。
日本的な、例えば雨月物語などにも通じる余韻を残す。
ふゆき

ふゆき