ガリガリ亭カリカリ

ゴールド・ボーイのガリガリ亭カリカリのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
5.0
最高。今宇宙でいちばん面白い映画。

読み始めたらページをめくる手が止まらない小説のような面白さ。

特に我々の年代は、金子修介へ長年納め続けてきた税金(ガメラ税、学校の怪談3税、GMK税、デスノート税、自分の場合は1999年の夏休み税)の還付金を頂戴させていただいた喜びがある。
「コレっす……コレが観たかったンスよ、金子サン……」と終始ニッコニコで観た。

星乃あんなちゃんが登場した瞬間の、キターーーーッ!金子修介ヒロイン!!な圧倒的存在感が素晴らしすぎる。
幼少期、金子修介映画の前田姉妹に色々と狂わされた身としては、彼女のジュブナイルヒロインとしての強固さだけで高揚した。

星乃あんなちゃんと羽村仁成くんが走るショットがリリカルすぎて「この映画は明確にジュブナイル映画でもある!」という高らかな表明。

北野武組を引き連れての沖縄映画撮影という贅沢さ。
脚本・港岳彦の脚色の秀逸さ。

『ドライブ・マイ・カー』の岡田将生も最高だったが、俺たちの観たい岡田将生マシマシ特盛大サービスすぎて"分かっていらっしゃる"。

面白すぎて、もうこのショットで映画は終わるだろという瞬間が何度かありながら、中々終わらせずに引っ張る、クライムサスペンスとして、頭脳戦として、エンタメとして引っ張る、そしてあのラストショットで暗転、お釣りが返ってくる満足度。

沖縄という地で若者たちが酷い目に遭いまくり騙し合い殺し合う、「戦前」の予感としての絶望の空気感も真空パックされていて、まさに今観るべきエンターテインメント。

こんな大傑作がヒットしないなんて、やっぱり映画産業なんか滅んでしまえばいい。後年、カルト映画になっているはず。