ガリガリ亭カリカリさんの映画レビュー・感想・評価

ガリガリ亭カリカリ

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トラップ(2024年製作の映画)

3.5

なんとも変な映画だった。シャマランの新作だワーイワーイという気持ち以上に、アピチャッポン組やルカ・グァダニーノ組のサヨムプー・ムックディプロームが撮影監督、かつシャマラン久々の35mmフィルム撮影とい>>続きを読む

全身ハードコア GGアリン(1994年製作の映画)

4.5

『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が日本で公開されるや否や、抗いようが無い形で本国での酷評を前提に「前評判通りつまらない」「そこまでつまらなくなかった」「酷評されてるけど面白かった」等という感想が飛び交>>続きを読む

シャイニング(1980年製作の映画)

5.0

最近デヴィッド・リンチの『マルホランド・ドライブ』4Kレストアと黒沢清の『Cloud クラウド』を観て、二人の作家のギャグセンの高さについて色々考えていたのだけれど、ギャグセンが高い監督として最初に想>>続きを読む

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

5.0

2019年ベスト&オールタイムベスト。
「いいないいな、にんげんっていいな」と呑気に憧れている動物さんたちに残酷にも一言。にんげんなんか、なんにもよくないぞ!人間なんて所詮はちんことまんこのことしか考
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.1

教科書から抜粋したかのような模範解答的な狂気を以ってして、本作を評価する気は起きない。しかしながらこの映画には、ホアキン・フェニックスという生き物の怪演が記録されている。しかもその生き物の記録として向>>続きを読む

ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

4.0

誠実で覚悟のある映画。全く嫌悪感は抱かないけれど、このビッグバジェットでこの構造、ヒットするはずがない……でも、作品のヒットとか観客の欲求とかを全て放棄して、同じ監督同じキャストで「作らなければけじめ>>続きを読む

マルホランド・ドライブ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

5.0

既に何十回と観ていて血肉と化しているほどに大好きな映画だが、初めて映画館で鑑賞した。当然、うっとりですよ……もはや、あらかじめ確約されていた「多幸感」を実感するまでの146分間。体感は100分くらい。>>続きを読む

Cloud クラウド(2024年製作の映画)

4.9

テーマとかメッセージとかドラマとかを語ることのすべてを葬り去って、「面白いこと」だけを羅列して「面白いこと」で数珠繋ぎしただけの果てしなく「面白い」映画。ゆえに、黒沢清のフィルモグラフィ、特に『クリー>>続きを読む

エイリアン:ロムルス(2024年製作の映画)

4.0

文字通りの意味で「フェデ・アルバレスが撮った『エイリアン』」以上でも以下でもない。その完パケ具合を以ってして、作家性の結実として捉えるか、クリシェやパターンのマンネリとして捉えるかによって評価が分かれ>>続きを読む

霊的ボリシェヴィキ(2017年製作の映画)

4.7

思想は兎も角ソ連国歌が好きなので、韓英恵が無表情で大きく口を開けてソ連国歌を歌唱するオープニングクレジットだけでまず最高。元気が無いときによく観ます。

怪異を語ること=怪談をホラー映画に即物的に取り
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ルクス・エテルナ 永遠の光(2019年製作の映画)

5.0

たとえば映画の劇中で殺人鬼がナイフを誰かに突き刺して殺したとしても、それを観客は安全圏から傍観しているに過ぎなくて、まるで自分自身が殺されたみたいだ、という恐怖のシンクロ体験というのは、本質的に映画と>>続きを読む

アングスト/不安(1983年製作の映画)

5.0

とりあえず映画撮る前夜に、機材打ちを終えて爆眠い中なんとなく見直した。なぜなら、不安というタイトルから乖離して、観れば観るほど安心感が増すので……安定剤映画。作劇とかストーリーとか展開とかメッセージと>>続きを読む

Chime(2024年製作の映画)

5.0

自分がホラー映画を撮るタイミングで絶対に観ない方がいいと思って暫くスルーしつつ、座組のほとんどが本作の話ばかりするので、折れて先月にやっと観て、あまりにも創作意欲の糧となり励みとなった。
怖いよりも前
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吉原炎上(1987年製作の映画)

5.0

名取祐子が主役でありながら狂言回し的な立ち位置で、実のところ吉原を巡る様々な遊女たちのオムニバスの構造になっているのが最高。

気持ち良すぎるカメラワークとカット割、極才色の美術、女優たちの身体を張っ
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鬼龍院花子の生涯(1982年製作の映画)

3.7

家父長バカ毒親たる父親の威厳こそが家族を滅ぼす、ひいては、そういった権力構造とか固定概念が正しいものとして蔓延る日本が戦争で敗戦して多くの人々の幸せを喪失させたこと、それ自体へのアンチテーゼとして機能>>続きを読む

THE 4TH KIND フォース・カインド(2009年製作の映画)

4.3

サイコー。久々に見直したら何もかもを"信頼"できた。もはや御守りのような映画。

友人のたけき夏アニメーションさんと映画談義していたときに彼が「やっぱり『フォース・カインド』や『フォーガットン』は過小
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不安の種(2013年製作の映画)

4.2

正しく面白い。低予算感が拭えないルックやCGを指差してつまらないと消費してしまうことが如何に愚かしいことか。恐怖とは異なる「不安」とか「不気味」という感情の構築が丁寧で良い。
低予算の制約の中で、CG
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デッドプール&ウルヴァリン(2024年製作の映画)

3.6

不遇のレッテルを剥がすべく、救われなかった存在を救済・浄化しようと試みるナラティブがあまりにも発明で、映画としての出来不出来を論じる以前にその点は称賛。単なるサプライズ映画に帰結しない志しは確かに感じ>>続きを読む

オペラ座の怪人 4Kデジタルリマスター(2004年製作の映画)

5.0

20年ぶりに映画館の音響で聞くOvertureに全身が震え上がり、もはやその一点だけで恍惚してしまうカタルシスに大満足……
四季版のファンではありますが、それでも、自分にとってこの映画版は原体験に近い
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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.4

FRがチキチキマシン猛レースだったのに対して、1作目を思い起こさせるような真っ当な復讐譚。言い換えれば、東映女囚さそりみたいな映画。

だけど自分は、本作をFR前日譚としてではなく、『アラビアンナイト
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口裂け女2(2008年製作の映画)

4.9

『キャンディマン』を観ていて想起した傑作。
どちらも都市伝説をテーマにしている以前に、悲劇に対して絶望し尽くした人間が辿り着く、恐怖のイコンと化す被害者が描かれている。

『口裂け女2』は"2"表記で
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キャンディマン(1992年製作の映画)

4.8

中学生ぶりに見直した。これはオリジナリティで満ち溢れたモダンホラーの傑作なのでは……

中学生の頃に観た際は、超地味な映画だなぁという印象だった。ジェイソンやフレディのようなポップさとかキャッチーさが
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マザーズデー(1980年製作の映画)

5.0

観たことなかったんだけど、信じられないくらいに素晴らしい傑作だった……。

この映画、ラストばかりが有名で、自分もそのラストだけを認知していた。所謂『キャリー』や『13日の金曜日』ラストをパクったクリ
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.4

某曲の歌詞の意味を観客にあらかじめ周知しておいた上で迎えるクライマックスは、聡実くんが出せる最期のソプラノを絞り出す躍動感に満ちていて、そこはまんまとエモかった。文字通りに、その歌唱をもってして彼の">>続きを読む

邪願霊(1988年製作の映画)

4.0

Jホラーはここから始まった!と言って過言ではない点だけでも重要な映画。元祖心霊写真的恐怖(そのまた元祖は『回転』だけど)。
画面の奥でぼんやりとした人影がこちらを見ている、というだけで怖い。真っ白い顔
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アバター(2009年製作の映画)

1.9

ネトゲにどっぷりハマった息子を説教しに行ったら逆に殴り返されてネトゲ万歳!と自慢気に宣言された、ような話。
コレを162分間観るなら元ネタの『もののけ姫』を再見するかな。

一人称が完全に"あたい"な
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ノロイ(2005年製作の映画)

5.0

「なんでそんな言い方ができんだよ」
「なんでそんな言い方ができるんだって聞いてんだよ!」
「言い方ァ!」
絶対に隣に住んでいてほしくない人ナンバーワン、石井潤子さん。

民俗学的アプローチとバラエティ
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かえるのうた/援助交際物語 したがるオンナたち(2005年製作の映画)

5.0

超絶最高ハッピーエンドが凄すぎる。たとえば「ハッピーエンド」と辞書で引いて、この映画が凡例として挙げられることに誰が文句を付けられようか。あんなことはあり得ないと分かっていながらも、この物語があのラス>>続きを読む

さよなら渓谷(2013年製作の映画)

3.7

生涯許さない女と生涯許されたくない男の不幸せな営み。世界でお互いしか受け入れられない関係性を契約し、破滅することも破滅させることもできないまま、復讐にも贖罪にもならないセックスが日々発生するホラー映画>>続きを読む

LOVE【3D】(2015年製作の映画)

4.8

ドラマの中にセックスがあるのではなく、性愛そのものの物語。泣けるー。

フランス版ポスターにでっかく書かれた「ついに16歳以下厳禁の真の愛の映画の登場」ウケるー。

劇場で3Dで観たけど、飛び出すボカ
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101匹わんちゃん(1961年製作の映画)

4.5

101本目なので。
既存の鉄則をブチ破った、脱ウォルト・ディズニーなモダンアニメ。物語舞台が現代であることや敢えてミュージカル的手法を選ばない作劇はまだしも、線が残る作画にウォルトは嫌悪感を示し、長年
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ポゼッション(1981年製作の映画)

5.0

オールタイムベスト。夫婦間の亀裂と米ソ冷戦を重ね合わせたただ一つの映画。

マリッジ心理ドラマであり、ぐちょぐちょホラーであり、スパイアクションとも化す謎ジャンル映画で、終始観客に揺さぶりを掛けながら
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パラノーマル・アクティビティ(2007年製作の映画)

1.5

日本人は、この映画が想定する観客からは除外されているような気がする。

たとえば『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』は、世界共通で認識できる「森」をロケーションに設定しているのがうまかったが(『ジョーズ
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涼宮ハルヒの消失(2010年製作の映画)

5.0

オールタイムベスト。且つオールタイムベストSF。且つオールタイムベスト失恋映画。『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』からの影響も多々ありつつ、『素晴らしき哉、人生』で描かれた「自分が存在しない>>続きを読む

狂った果実(1981年製作の映画)

4.8

2015年に新文芸坐の特集「愛と官能のシネアスト」で『ラブホテル』と二本立てで観たが、あまりにも面白くて午前中から夜にかけて計3回続けて観た(寝坊しそうだったので前夜に池袋のネカフェに泊まったのも憶え>>続きを読む

オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014年製作の映画)

4.1

ありがちなタイムループ設定を、省略に次ぐ省略でコメディに昇華していてうまい。トム・クルーズが顔面蒼白で戦場から逃走したり、オタオタワナワナしまくっていて何の役にも立たない前半はずっと笑って観れた。トム>>続きを読む