ガリガリ亭カリカリ

涼宮ハルヒの消失のガリガリ亭カリカリのレビュー・感想・評価

涼宮ハルヒの消失(2010年製作の映画)
5.0
オールタイムベスト。且つオールタイムベストSF。且つオールタイムベスト失恋映画。『うる星やつら2 ビューティフルドリーマー』からの影響も多々ありつつ、『素晴らしき哉、人生』で描かれた「自分が存在しない世界」の逆転版であり、同じように"今"を肯定してみせるメッセージに帰結するのも興味深い。

ほとんど原作通りでありながら、京アニのアニメーションならではの演出力が独創的かつ高すぎて、ショットにしても風景の描写にしても、これは完全なる「映画」だ。

何度観てもキョンが谷口に掴み掛かるところで「涼宮ハルヒの手がかり」が流れ出し、キョンが激走するシークエンスで泣いてしまう。映画を観ていてあんなにエモい瞬間もない。「今、涼宮ハルヒはどこにいる!?」

『ブレードランナー』のレプリカント的な長門のバグ。
サイゼリヤでの『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』。
小泉の聞こえない「羨ましいですね」
みくるボディガードと化す鶴屋さん。
「Ready?」
入部届と栞。
『オズの魔法使』オマージュの病室。

長門のことを考えると、屋上でのキョンをブン殴りたくなるし、本当に全てが切ない……

あの長門を前にすると、自分は入部届を書いてしまいそうです……

去年の夏に目黒シネマでフィルム上映された消失が凄まじく良すぎて、あれは映画鑑賞体験のベストに入る感動があった。