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ゴールド・ボーイのsatoshiのレビュー・感想・評価

ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)
4.4
 絶賛評を見かけたので鑑賞。金子修介監督の作品は『平成ガメラ』しか見たことなかったのだけど、これがメチャクチャ面白かった。

 序盤は悪ガキ達が人生逆転を狙ってシリアルキラーを脅すという、90年代に制作されてそうなジュブナイル映画の様相を呈している。この序盤の駆け引きだけでもかなり面白いんだけど、ここに1点、不穏さがあるのがミソ。朝陽がどこか得体のしれない存在として描かれていて、本作の怖さが増している。観客には結構早い段階で真相は察せられるような作りになっている分、いつそれが表れるのか、が恐ろしく感じられる。中盤、子どもたちは恐ろしい犯罪に手を染めてしまうわけだが、私はここで朝陽への不信感がMAXになった。そして終盤、全てが表出してからの朝陽の豹変ぶりがそれはもう素晴らしかったです。余談ですが、ここ、一旦東の計画が上手くいったと思わせておいてからのどんでん返しなのもよかった。

 これは意図的だと思うのだけど、劇中、何度か朝陽と東が重なる箇所があった。噓のつき方がそっくりなんですよね。この2人。後、2人とも数学が得意。だから、東は朝陽のように子供の頃から犯罪を重ねていたのだと思います。そしてそのまま大人になってしまった。だから東は朝陽の将来の姿ともいえると思います。それ故に、最後であの結末を迎えられたことは、彼にとって東でない人生を与えられたということなので、一種良い終わり方なのだと思います。

 役者は皆素晴らしかったです。特に主演2人ですね。岡田将生は本当にああいう中二的なサイコパスがハマる。朝陽を演じた羽村仁成君も大変良かった。『リボルバー・リリー』にも出てたことを後で知りました。『リボルバー』より全然良かったです(あれは映画がヘッポコってのがあるが)。

 他の面で言うと、撮影です。北野映画で手腕を振るった柳島克己さんが担当しており、全ショットとても良い。後、舞台が沖縄なので、『3-4X10月』『ソナチネ』感がありました。これはもっと多くの人に見てもらいたいなぁと思います。
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